2020.06.25
妊娠したら知っておきたい!

【妊娠中の心の変化とストレス】

  妊娠がわかってからの約10カ月間は、ママと赤ちゃんが一心同体になり、絆を深めていく大切な時間。同時に、おなかの中の赤ちゃんがどのように育っていくのか、ママの体はどのように変化するのか……、 人間の生命の神秘を感じる10カ月でもあります。

 

 それと同時にママの心と身体は大きく変化します。つわり、体型の変化、出産への不安……、はじめての出来事が重なり、ストレスを抱えている方も多いのではないでしょうか。今回は、妊娠中に起こりやすい心の変化とストレスについて解説します。

心が不安定になるのは ホルモンの仕業

 妊娠したら、なぜかイライラすることが多くなったり、不安感に襲われたりする人が多いようです。気持ちが沈んでしまう、ネガティブにしか考えられなくなる、短気になる、頭痛、不眠……。心と体は密接に関係しているので、妊娠という体の大きな変化を迎えることで、心にも変化が現れるのは自然なことなのです。

 

 妊娠中は女性ホルモンの分泌量が急激に増減し、心にも影響を及ぼします。一般的に「女性ホルモン」と呼ばれるものには、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)があります。

 卵胞ホルモンは女性が思春期に入るころから分泌され、丸みのある体、ツヤのある髪、張りのある肌といった、女性らしさを作る源。また、受精卵が着床しやすいように子宮を発育させる役目もします。黄体ホルモンは子宮内膜に働きかけ、さらに妊娠しやすい状態を作ったり、妊娠を維持する働きをします。どちらも妊娠初期に増えるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンにより、卵巣の中にある黄体が刺激されることで分泌量が増加します。

 

 ママの心の変化を表す「マタニティブルー」は、妊娠直後や出産後に起こると思われがちですが、妊娠してから産後のホルモン分泌がもとに戻るまでの約1年の間、いつ症状が出てもおかしくない状況。無性にイライラしたり、クヨクヨしている自分に気付いたときは、「ホルモンのせいだからしょうがない!」と開き直るくらいがちょうどいいかもしれませんね。

中期以降はストレスやお産への不安が原因に

 ホルモンバランスの急激な変化は、妊娠中期に入ると落ち着いてきます。しかし、中期以降は別の要因によるストレスを感じやすくなります。

 

 ひとつめは、自分の体や生活の変化。おなかが大きくなってきて、女性としての外見の変化にショックを受ける人もいます。動きにくくなって思い通りに行動できなくなったり、家にこもりがちになって社会からの疎外感を覚える人も。特に、働いていたママは産休に入って生活が一変すると、戸惑いやストレスを感じることが多いかもしれません。

 

 もうひとつの大きな要因は、お産や育児への不安がどんどん具体的になってくること。「私はお産に耐えられるのかな…」「赤ちゃんは元気で生まれてくれるかな…」「私は母親として、ちゃんと育児ができるのかな…」など、近未来をリアルに想像することで不安が増していくのです。

おおらかに構えてじょうずに気分転換を

 こうしたさまざまな不安はほとんどのママが感じるもので、特別なことではありません。小さな不安を気にすると、さらなる不安を呼ぶという悪循環を招くので、どんなときでもおおらかに構えておくことが大切です。また、妊娠中は誰でもこうした精神状態になることをパパにも理解してもらい、支えてもらいましょう。

 

 なんとなくイライラがおさまらない場合は、ゆっくり眠ったり、散歩をしてみて。気分転換に夫婦で外出するのもいいですね。「人との交流が減った」「お産や育児が不安」という人は母親学級や、両親学級、自治体などで行っているママ向け講座などに参加して、ママ友を作るのもおすすめ。同じ状況にいる人たちと悩みを分かち合ったり、情報交換などをすることは、心の支えになりますよ。

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※本記事は、下記出典をもとに一部加筆・再編集したものです。(新星出版社/向山)

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竹内正人 監修 (プロフィールは下記参照)
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竹内正人(タケウチマサト)
産科医、医学博士。日本医科大学卒業。米国ロマリンダ大学で周産期生物学、日本医科大学大学院で産婦人科学と免疫学を学び、2005年まで葛飾赤十字産院に勤務。産科部長として周産期医療に力を注ぐとともに、JICA(国際協力機構)母子保健専門家として、ベトナム、アルメニア、ニカラグア、パレスチナ、マダガスカル、カンボジアの母子医療にも関わる。現在は東峯婦人クリニック(東京都江東区)副院長。2006年、生から死までホリスティック(=全体的)に関わりたいと、主にグリーフケアの場として東峯ヒューマナイズドケアセンター・ラウンジクリニックを開設。より優しい「生まれる」「生きる」を目指し、国・地域・医療の枠を超えた”行動派産科医”として活動している。(書籍刊行時)

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